離島のアートイベント

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海中道路の離島群を使ったアートイベント


沖縄本島中部のうるま市に、海中道路という場所があります。本島の近くの隣接した4つの離島を橋や道路でつないだもので、それぞれの島が小さいので車で気軽に離島巡りができる人気スポットです。
数年前から、その離島の集落と連携して島全体を使ったアートイベントが毎年この時期に開催されています。それが「イチハナリアートプロジェクト」です。
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うるま市の観光サイトより拝借

「イチハナリ」とは「一番離れている」という方言で、元々は4つの離島の一番奥の伊計島だけで行われていた時の呼び名です。伊計島の廃校(屋内展示物)と集落内(屋外展示物)だけで行われていましたが、昨年その廃校がニコニコ動画の通信高校に使用されるために校舎を使った開催が難しくなったので、思い切って離島全体に規模を広げたものが現在のイチハナリアートプロジェクトです。現在は伊計島以外の3島も合わせるという意味で「イチハナリアートプロジェクト+3」という名前が正式名称らしいです。
日本の果ての沖縄の離島という「イチハナリ」な場所に、ネットという媒体を活かした学校が生まれたというのが不思議な感じがしますね。
  イチハナリアートプロジェクト公式Facebook


ガイドとチケットを購入

海中道路の途中にある海の駅「あやはし館」で500円を支払い、チケットとガイドを購入します。ほとんどが屋外の展示なのでタダでまわることも可能なのですが、このガイドがないと島内のどこに作品があるのかわからないので、買っておくべきです。
さっそくガイドを開いてみると、海中道路と4つの島に全部で50を超える作品があるようです。今年はじっくり全部見るには丸一日かかりそうです。ちなみにガイドには作品の場所の地図の他に各島の観光ガイドにもなっていて、とてもいいと思いました。
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この巨大なおばあさんはこのイベントのシンボル的存在で毎年どこかに鎮座しています


各集落と作品


浜比嘉島

長い橋を渡った先にあるのが浜比嘉島です。狭いのでいい具合に住宅が密集していて、ここの地区は竹富島のような沖縄風の美しい町並みが見られました。作品を探して歩いている時も楽しかったです。
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浜比嘉島の比嘉地区。パワースポットや神聖な旧跡が多い

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このイベントは、屋外展示の他にも集落の民家自体を作品にしたものが多かったです

平安座島と宮城島

平安座島と宮城島はほぼくっついてほとんどひとつの島ですが、手前の平安座島は島の大部分が石油の備蓄基地になっていて宮城島がメインになっていました。
宮城島は島全体が大きな山のような地形なので集落も斜面にあり、入り組んだ狭い道を登ったり下ったりして汗だくになってしまいました。それでもその集落やそこから見える景色は、山の緑と海の青が重なって本当に美しかったです。その景色に溶け込んでいる作品が美しくないはずがない。宮城島から海を臨む場所にある作品はどれもすばらしく感じられました。
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島や集落の風景に溶け込んだりアクセントを与えている作品

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公民館の中をいっぱいにしてしまう巨大な作品

伊計島

伊計島はいわゆるイチハナリな遠くに位置していて、海も外洋に面していて波が荒いです。そんな厳しい環境と小さな集落の雰囲気が作品に独特の力強さを与えているように感じました。
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集落の様子。歩けばわかりますが浜比嘉島とはかなり異なった雰囲気

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展示だけかと思ったら作者によるワークショップもありました


「イチハナリアートプロジェクト+3」の感想

ぼくは美術館にも行くことがありますが、「イチハナリアートプロジェクト+3」は、作者の知名度に関わらず、それぞれの作品には強いインパクトがありました。それはおそらく、離島に置かれた展示物が個性的な各島の景観と合わさって大きな深みを増したからだと思います。
もちろん中には制作意図がさっぱりわからないものや、せっかく集落の空き家を使用しているのに何も感じられないものもたくさんありました。ぼくの感受性が低いだけかもしれませんが・・・。
でも普段入ることのない離島の集落を歩き回るだけで楽しく、それぞれの島の景色は美しく、申し分のない一日を過ごせました。
みなさんもぜひ来年はこの空間に入り込んでみてください!

[ 離島のアートイベント ]blog, , , , , 2016/10/02 13:47